こんにちは、盆栽なんごくの松浦です。
いかがお過ごしでしょうか。(^▽^)/
今日も素晴らしい一日であります。
白椿が咲いています。
「一休」という品種。
お茶の席に似合うとか。
乙な花姿です。
・・・
さて、
今日の一冊。
逆境の中で咲く花は美しい
~がん患者の救世主の生きる哲学~
工藤進英 著
昭和大学医学部特任教授
横浜市北部病院消化器センター長
幻冬舎
2017年9月20日
なぜこの本を手に取ったのかは分かりません。
タイトルに惹かれたのでしょう。
何となく読んでいるうちに
段々と面白くなってしまった本です。
「上手くいくための○○の法則」といった
ノウハウ本は山ほど出回っています。
たしかにこういった本は有益な内が
多いと思います。
しかし、この本はちょっと違いました。
医療の現場で働きつつ
拡大内視鏡の開発に携わった医者の
考えや生き方が記されています。
現実の世界の中で恩師や師匠といった人を
あまり持ったことのない私にとって
一人の医者の生き方を見せてくれるいい本です。
著者の工藤進英という方、
オリンパスなどの光学機器メーカーと
拡大内視鏡を開発し、「Kudo分類」の
開発者として世界に知られている医師だそうです。
”私は医者としてエリートコースとはちょっと違う
道を歩んできましたが、それが実は幸運だったと
言ってもいいかもしれません。”
”進路について人の判断を仰いだことは
今までに一度もありません。
私はいつも「自分がしたいこと、できること、
すべきこと」を考え、これで立ち位置を決めます。
何のために医師をしているのか?
いつまでに何をやろうとしているのか?
この自問自答を毎日にように繰り返すことで、
立ち位置が決まってくるのです。”
こういう人は常に考えているんですね。
私なんかはノー天気にフラフラ漂って
生きているようなものです(;^_^A
人生の最初の基礎教育というか、
基礎工事の段階で違うような気がする。(笑)
こういう人って、
自分のことは、やっぱり自分で決めるんだよなぁ。
立ち位置が決まらないということは、
「できること、すべきこと」が定まっていない
ということでしょう。
たしかに「できること、すべきこと」が
見えていれば自分の立ち位置は自然に
見えてくるのかもしれません。
ー役割は探すのではなく求めるものであり、
それは常に現場にある
”...(中略)ノーベル賞を受賞する医学者は
もちろん偉大ですが、金銭欲や名誉欲を捨て、
辺地の医療に一身を捧げる医師も偉大なのです。”
”役割も仕事も与えられるものではなく
自ら求めるものであり、常に発展、進歩を
するべきものです。
そして生き甲斐は必ず待ち受けている試練を
与えられる現場にこそ生まれます。
ただし、試練を乗り越えるには知恵を持つこと、
努力を続けることが絶対必要になります。”
正論です。
なんだか正論過ぎて耳が痛い…(-_-;)
この「課題は現場にある」という部分は賛成です。
製造業の経験が長い自分にとって
現場は全てが詰まったところ。
オフィスでパソコンに向かって仕事していても
何が起きたかは現場に行かないと分からない。
問題を解決するのも現場に行ってこの目で
見ないと本当のことは分からない。
たしかに人とモノが動くところに
課題があり、そこに答えがあるような気がします。
”…生き甲斐は必ず待ち受けている試練を
与えられる現場にこそ生まれます。”
販売の仕事ならお客さんとの接点の時間、
医者なら患者さんと向き合う時間。
そこで与えられた課題こそが
生き甲斐につながると。
盆栽なら棚場で何を見るかということか(?)。
ーちょっと異質な的でも継続して
射続けていれば何とかなるもの
”…(中略)私はあきらめの悪い人間です。
医療ができることをとことん追求したい人間です。
多くの人が見向きもしない的だからこそ
射る楽しみもあります。
古今東西、どんな仕事であるかにかかわらず
プロフェッショナルと言われる人が
「新しい価値」を生み出してきたのは、
社会が見向きもしない的を射続けてきたからです。”
”医師の仕事の大半は、大それたことはありません。
小さな部品がきちんと動いているか、ねじに緩みや
錆はないかを観察し、修繕するという平凡な
作業の繰り返しです。
平凡といえば平凡な毎日ですが、熱意をもって
それを継続することが非凡につながります。
そして常に良いものを求め、
それを築きあげることです。”
平凡なシンプルな毎日の中で
改善点を見つけ出し、
継続していくことで非凡に達する。
イチローみたい。
こういう部分は仕事に対する姿勢が
現れると思います。
何気ない作業でも、もっとこうしたら...とか、
こっちの方が効率がいいのでは?とか、
そうしたアイデアが出るかどうかです。
ただ、言われたことをやっているだけでは
簡単にアイデアが出てくることはありません。
集中して考えて取り組んでいればこその
アイデアです。
(私はあまり出ませんが…!( ;∀;))
ー与えられた仕事より、自分がやりたい仕事を選ぶ。
たとえそれが荊(いばら)の道であっても
”統計的には日本では今後、大腸がんの患者さんが
急増すると予測され、私は内視鏡検査の将来に
確信はありましたが、当時はまだ一人前とは言えない
若い医師だっただけに「こんなことをやって
大丈夫だろうか」と不安に駆られたことも事実です。
大学病院にあって敷かれたレールからはみ出すのは
「出世」をあきらめることを意味していたからです。
しかし私は不安に苛まれながらも、出世より
早期診断と治療を可能にする内視鏡検査を極めたい
という「希望」を選択しました。”
この方は、本の中で医師としての
出世をあきらめたという表現をしています。
私の勝手な考えですが、出世を目的に
していたら人間関係や役職のしがらみで
内視鏡の開発といった活躍はなかったかも
しれませんね。
というより、この方には出世という欲が
必要なかったのだと思います。
常に現場にいて、自分の役割を全うしようと
したからこそ、この生き様になったのだろうと。
ー地味でも同じことを繰り返す
”私が本書で語るプロフェッショナルとは
特別な才能を持って活躍する人たちだけを
指すのではありません。
私自身プロフェッショナルであると自負して
いますが、何も特別なことをやってきたわけでは
ないのです。
陥凹(かんおう)がんを見つけるために、
寝食を忘れて内視鏡検査を行い、それをもとに
深く考察を続けたにすぎず、それはどんな医師にも
挑むことのできる研究活動と言えるでしょう。
ただ目標を持って研究を粘り強く継続したことによって
拡大内視鏡を開発し、世界一の内視鏡治療を
こなすことで、私はプロフェッショナルに
なれたのです。”
そうですよね…。
継続って大事。
著者は続けることの重要性を示すために
遅咲きの作家を4人挙げています。
藤沢周平、阿刀田高、新田次郎、松本清張。
この4人に共通するのは、
作家として活躍し始めたのが
40歳を過ぎてからということ。
それまではサラリーマンとして働いたり
いろんな仕事を経験したりしながら作家
としての活動を細々と続けていたようです。
別の仕事をしながら、自分のやりたいことを
決してあきらめなかったと。
素地があったからこそだと言います。
活躍しようがしまいが、腐ることなく
とにかく続けることが大切だということでしょう。
こうした医師がいるからこそ、医療の現場では
日進月歩の進化が生まれているのかもしれません。
大腸がん検診に使われる内視鏡の開発に
このような人が携わっていたとは
知りませんでした。
どんな世界にも、ただひたすらに目の前のことに
取り組んで邁進する方がいるものですね。
アメーバのように漂う私は何をやっているのかと
凹んでしまいますが…!笑
本を通して、こういう人物を見つけて師と仰ぐのも
良いかもしれません。
YOUTBEで工藤進英さんの動画が数本あるようです。
興味のある方はご覧になって見てください。
「地味でも同じことを繰り返す」
平凡な毎日を繰り返して、
非凡に到達したいものですね👍
今日もお天道様に感謝です。
では、また。(^^)/~~~
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